「公立と私立、実際どっちがいいの?」
この問いに、元公立・現私立の立場から答えられる人は意外と少ないものです。「元教員」のブログは多くても、今も現場にいながら両方を経験した人間の比較記事はほとんどない。
私は28歳で県立高校から私立高校へ転職し、現在も現役で教壇に立っています。この記事では、給与・働き方・職場環境・そして「想定外だったこと」まで、できるだけ正直に書きます。
給与・年収の違い
基本給はほぼ変わらない
公立から私立への転職で気になるのが、まず給与です。
私の場合、基本給はほぼ変わりませんでした。 私立だから高い・低いというより、学校によって差が大きい。転職前に「基本給がどの程度維持されるか」は必ず確認すべき点です。
手当で年収が上がった
変わったのは、各種手当の存在です。
- 補習・補講の手当
- 部活動指導の手当
- 土日出勤の振替休日
公立では給特法のもと、これらはすべて無給でした。私立では「やった分だけ対価がある」。
結果として、年収のトータルは上がりました。 残業代の概念がある環境に移ったことで、働いた分が収入に反映される感覚を初めて持てました。
働き方・時間の違い
部活動が「選べる」環境になった
公立では、部活動は事実上の義務でした。「やりたくない」と言い出せる空気ではなく、経験のない競技の顧問を押しつけられることもある。
私立は違いました。**部活に力を入れているかどうかが、最初からはっきりしている。**強豪部活は専任顧問が情熱を持ってやっていて、やりたくない人は担当しなくていい雰囲気がある。
また、土日に部活を担当する場合は、平日に授業のない日(実質的な代休)がある仕組みになっています。休める曜日は先生によって異なりますが、完全無休が続く公立の状況とは明確に違う。
校務分掌の負担が大きく減った
私立では非常勤講師の数が多く、先生の総数が公立時代より増えました。人数が増えた分、校務分掌(各種委員会・行事担当など)の負担が分散されて、だいぶ楽になりました。
公立では少人数で全部を抱えていたので、この差は想定以上に大きかったです。
職場環境・文化の違い
「組合」の存在が公立とまったく違う
私立に来て一番驚いた文化の違いが、組合(労働組合)の活動です。
公立では組合の存在を意識することはほとんどなかった。私立では月1回程度、組合の集会があり、給与・手当の値上げ交渉や労働環境改善の要求を、理事長と直接話し合う機会があります。
「先生たちが経営陣と交渉できる」という構造は、公立ではまず経験できないことでした。学校を一種の「職場」として捉えた働き方が根付いている印象です。
正直に言う——私立に来て「想定外だった」こと
良いことばかりではありません。転職前に知っておきたかったことも書きます。
①「評価される」環境のプレッシャー
公立にいたとき、正直に言えば「やってもやらなくても給料は変わらない」という空気がありました。
私立はそうではない。成果を出すことへの期待がある分、手を抜けない。 一人の社会人として、しっかりやらなければという意識が強くなりました。
これはポジティブな変化でもあるのですが、公立時代のペースに慣れていた私には、最初は正直プレッシャーでした。
②入試問題の作成が想像以上に大変だった
私立教員として初めて経験したのが、入試問題の作成業務です。
「それほど大変ではないだろう」と思っていたのが正直なところ。しかし慣れるまでは、相当な時間と労力がかかりました。公立では経験しない業務のひとつとして、あらかじめ心づもりが必要です。
③学校存続への不安
これは、転職前にはあまり考えていなかった点です。
公立なら、定員割れしても学校は続きます。税金で運営されているから。
私立は違います。生徒が来なければ、学校は存続できない。
生徒募集専門の校務分掌があり、全教員が協力して取り組む。少子化が進む中で、「10年後・20年後もこの学校はあるのか」という不安は、公立教員には感じなかったものです。
結局、公立と私立どちらがいいか
どちらが「正解」かは、何を重視するかによって変わります。
| 比較軸 | 公立 | 私立 |
|---|---|---|
| 基本給 | 地方公務員給与表に準拠 | 学校による(要確認) |
| 手当・残業代 | 給特法により原則なし | ある(学校による) |
| 雇用の安定性 | 非常に高い | やや低い(少子化リスク) |
| 部活動の自由度 | 低い(事実上強制) | 高い(選べる) |
| 校務分掌の負担 | 多い(人員が少ない) | 少ない(分散できる) |
| 評価・査定 | ゆるやか | 厳しめ |
| 入試問題作成 | なし | あり |
安定を最優先するなら公立。 働いた分が評価される環境で仕事をしたいなら私立。どちらも一長一短があります。
私が私立を選んだのは、「やった分だけ評価される環境に身を置きたかった」からです。その点では、今も満足しています。
まとめ
公立と私立、どちらが自分に合っているかを知るには、実際に情報を集めてみるしかありません。
転職エージェントに相談すると、希望条件に近い私立学校の求人を紹介してもらえます。「私立への転職を検討している」という段階で相談しても構いません。登録は無料で、転職を決める義務もない。
まずは自分の選択肢を広げることから始めてみてください。
この記事を書いた人:ぶたまる 現役高校数学教師。県立高校から私立高校へ転職し、現在も教壇に立つ。両方の現場を経験した立場から、教員のキャリア情報をフラットに発信。→ 運営者プロフィール