「教員は忙しい」とよく言われますが、実際どのくらいなのか。転職した人は働き方が変わったのか。定量的な情報も体験談も、なかなか見つからない。
この記事では、公立高校で月残業200時間超・残業代ゼロを経験し、その後2回転職した私が、教員の多忙の実態と、働き方が変わるために本当に必要なことを正直に書きます。
- 公立教員の多忙の実態(具体的な数字と中身)
- 「忙しさ」の何が一番つらいのか
- 民間・私立に転職したら働き方は変わるか
- 公立で異動しても変わらない理由
月残業200時間・残業代ゼロ——数字で見る現実
まず、私が経験した公立高校での勤務実態を書きます。
平均的な平日のスケジュールはこうでした。
- 7:00 出勤
- 8:30〜15:30 授業・HR・担任業務
- 15:30〜18:30 部活動指導
- 18:30〜20:30前後 授業準備・校務分掌・生徒指導・保護者対応
- 20:30前後 退勤
1日13〜14時間前後、週65〜70時間前後の労働です。土日も部活指導で出勤する週が多く、完全にオフな日は月に1〜2日程度、ということもありました。
そして月の残業時間が200時間を超えた月がありました。残業代は0円です。
一般的な企業では、月80時間を超える残業は「過労死ライン」と呼ばれます。200時間は、その2.5倍です。しかも無給。「当たり前」と思い込んでいたこと自体が、問題の深刻さを示しています。
「忙しい」の中身——裁量のある忙しさと、ない忙しさ
ただし、「忙しい」の質は均一ではありません。
| 種類 | 例 | 感覚 |
|---|---|---|
| 裁量のある忙しさ | 授業準備・教材研究 | きついが、やりがいがある |
| 裁量のない忙しさ | 校務分掌・会議・書類・突発対応 | 消耗するだけ |
| 強制的な忙しさ | 部活動(断れない空気) | 「やりたいこと」と思い込んでいた |
特に部活動は、「断れない空気」があります。私も土日の部活指導は当初から「生徒が大会に出るために必要なことだ」と思っていました。でも今振り返ると、その感覚を自分に言い聞かせていた部分があったと感じます。
転職したら、どう変わったか
私はその後2回の転職をしました。1回目は公立高校から一般企業(営業職)へ、2回目は私立高校へ。
民間企業に転職したとき
一番驚いたのは、「残業しない空気」 でした。
公立学校では「早く帰ること」に罪悪感があります。むしろ遅くまでいることが「頑張っている」と見られる文化がある。でも民間では逆でした。
勤務時間内にやるべきことを終わらせる。 それが当たり前として機能していました。
仕事量も教員時代とは比較にならないほど少なく感じました。「本当にこれだけでいいのか」という感覚が最初はありました。残業が0ではありませんでしたが、やりたくてやる残業で、残業代もあった。「しんどい」という感覚がまったく違いました。
私立高校に転職したとき
私立は、採用前の面接の段階で「どう働きたいか」を伝えることができました。働き方について、自分の意思を入れた状態で採用されたので、今は自分に合った働き方ができています。
私立は公立より裁量があるぶん、職場環境は学校によって大きく異なります。面接で働き方や残業実態について率直に確認することを強くすすめます。
公立で異動しても、働き方は変わらない
公立学校の多忙は、特定の職場・管理職の問題ではなく、公立学校という制度の問題です。
- 残業代が出ない仕組み(給特法)
- 部活動指導の事実上の強制
- 校務分掌の膨張を止める仕組みがない
これらは異動で変わりません。改善するためには、自分から外に出るか、制度が変わるのを待つか、のどちらかです。現時点で制度改革の動きは遅い。
自分から動かない限り、何も変わらない。 これが2回の転職と異動を経た私の実感です。
まとめ
- 公立教員の多忙は「月残業200時間・残業代ゼロ」が実際に起こりうるレベル
- 「裁量のある忙しさ」は耐えられても、「強制的な忙しさ(部活)」が消耗の核心になりやすい
- 民間転職で「残業しない文化」「勤務時間内で完結する仕事量」を初めて体感した
- 私立は入社前に働き方を交渉できるぶん、自分に合った環境に入りやすい
- 公立で異動しても構造は変わらない。働き方を変えたいなら、自分から動く必要がある
「多忙=辞めるべき」とは限りません。でも「多忙を我慢し続けることが正解」でもない。
選択肢を知った状態で判断するのと、何も知らずに我慢するのは、まったく違う話です。まず情報を手に入れることから始めてください。